WAOJE福岡にて「防災事業のグローバル戦略」について講演

防災を「理念」ではなく「実装」に変える、SAKIGAKE JAPANの事業戦略

2026年1月30日、福岡商工会議所にて開催されたWAOJE福岡の定例会において、株式会社SAKIGAKE JAPAN 代表・近藤が登壇し、「防災事業のグローバル戦略」をテーマに講演を行いました。本講演では、会社設立の背景や経営哲学に始まり、防災を取り巻く市場環境、デュアルユース(平時×災害時)という考え方、国内外で進めている具体的なプロジェクト、そして今後の国際展開と標準化への取り組みまで、SAKIGAKE JAPANが目指す方向性を体系的に共有しました。


WAOJE(World Association of Overseas Japanese Entrepreneurs)とは

WAOJE(World Association of Overseas Japanese Entrepreneurs)は、世界各地で事業を展開する日本人起業家・経営者による国際ネットワークです。現在、世界40以上の国・地域に支部を持ち、海外ビジネスの最前線で活躍する経営者同士が、国境を越えて知見や経験を共有しています。

WAOJEの特徴は、単なる交流団体にとどまらず、

  • 海外市場での実体験に基づく知見の共有
  • 各国のビジネス環境・制度・リスクへの理解
  • 次世代起業家の育成や相互支援

といった点に重点を置いていることです。

グローバル市場で事業を行う上では、成功事例だけでなく、失敗や試行錯誤の共有が不可欠です。WAOJEは、そうしたリアルな経営の知をオープンに交換できる場として、多くの経営者にとって重要な拠点となっています。

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WAOJE福岡の位置づけと特徴

今回の講演の舞台となったWAOJE福岡は、九州・福岡を拠点とする経営者・起業家を中心に構成される支部です。福岡は、アジアとの地理的近接性やスタートアップ支援環境の充実から、「日本と海外をつなぐハブ」として存在感を高めています。

WAOJE福岡では、

  • 海外展開を見据えた経営戦略の共有
  • グローバルサウス・新興国市場への視点
  • 地域企業と海外ビジネスの接続

といったテーマが積極的に議論されており、国内視点に閉じない実践的な議論が行われています。今回の定例会も、単なる事例紹介にとどまらず、「なぜその市場なのか」「どこで躓き、どう乗り越えたのか」といった、経営の意思決定プロセスに踏み込んだ対話が印象的でした。

防災を「社会に実装する仕組み」として捉える

SAKIGAKE JAPANが事業の軸に置いているのは、防災を「非常時の特別対応」や「啓発活動」にとどめないという考え方です。災害は、いつか起きる“想定外”ではなく、起きる前提で社会やインフラを設計し直すべき現実です。そのため私たちは、

  • 災害対応
  • 事業継続(BCP)
  • 地域・都市のレジリエンス

単発の対策ではなく、社会の中で機能し続ける仕組みとして再設計することを事業の中心に据えています。

講演では、防災分野を選んだ理由として、「興味がある」「社会に役立つ」「事業として成立する」この三つが同時に成立する領域であること、そして気候変動の進行により、防災ニーズは今後も確実に拡大することをお伝えしました。


デュアルユースという一貫した設計思想

講演の中核をなしたのが、デュアルユース(Dual Use)という考え方です。防災製品や仕組みは、「災害時専用」であるがゆえに、

  • 平時には使われない
  • 導入判断が後回しになる
  • いざという時に運用されない

という課題を抱えがちです。そこでSAKIGAKE JAPANは、防災を平時から使われるインフラとして再定義しています。

例えば、

これらは個別の製品ではなく、「平時と非常時を分けない設計思想」によって一本の線でつながっています。


日本の防災技術を、世界で機能させるために

講演では、インドネシア、サウジアラビア、タイ、ベトナムなど、複数の国で進めている取り組みも紹介しました。SAKIGAKE JAPANが創業当初から国際展開を重視している理由は明確です。

  • 気候変動由来の災害は国境を越える
  • 日本は防災・災害対応の「運用知」において世界有数
  • しかし、その価値は十分に海外へ届いていない

私たちは、日本の技術やノウハウをそのまま輸出するのではなく、各国の制度・文化・インフラ条件に合わせて再設計し、現地で使われる形で実装することを重視しています。インドネシアで進めているコールドチェーン構築プロジェクトでは、冷蔵インフラの不足による漁獲ロス削減と所得向上を同時に目指すなど、防災と経済性を両立するモデルづくりに取り組んでいます。

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標準化と人材育成という次のフェーズ

災害対応の大きな課題の一つは、「属人性」です。誰が来るかによって対応の質が変わる状況では、スケールも再現性も生まれません。

SAKIGAKE JAPANは、東京大学との共同研究を通じて、

  • 災害対応のフェーズ別整理
  • 行動・役割のマトリックス化
  • 実務に耐える標準化

に取り組んでいます。その一環として設計しているのが、「災害対策士」資格制度です。知識だけでなく、現場対応力を可視化し、第三者が評価できる仕組みとして、国内外での活用を視野に入れています。


共創によって、防災を「基盤産業」へ

講演では、パナソニックをはじめとする企業との共創についても触れました。

SAKIGAKE JAPANは、防災・レジリエンスを一過性の社会課題ではなく、継続的に価値を生み出す基盤産業・市場へと育てることを目指しています。そのために、

  • ハードとソフトを組み合わせた総合提供
  • 平時から使われる設計
  • 行政・企業・地域が共通言語で議論できる枠組み

を重視し、実装を通じて価値を証明していく方針です。


おわりに

創業から現在に至るまで、SAKIGAKE JAPANは「まずは信頼と専門性を積み上げること」を最優先してきました。アクセラレーター採択、国際会議への招待、行政・大学との連携といった取り組みは、その結果として生まれたものです。

防災を“語る”のではなく、“機能させる”。
国内外の現場に足を運び、“実装を積み重ねる”。

今回の講演は、その現在地と、これからの方向性を共有する機会となりました。SAKIGAKE JAPANは今後も、防災・レジリエンスを社会の中で機能する仕組みとして実装し続けていきます。