はじめに ─ 被災地に寄り添い、防災の現場から考える
毎年7月3日は、静岡県熱海市伊豆山地域で発生した激甚な土石流災害を思い起こす日にふさわしい日です。2021年(令和3年)7月3日未明、豪雨によって山腹が崩壊し、土砂と流木が住宅地へ襲いかかり、死者およそ27名、行方不明者数名、住宅やインフラの甚大な被害をもたらしました。今なお現地の復旧・復興は続いており、地域の方々の苦悩も続いています。
この災害は決して遠い過去の話ではありません。地球温暖化による集中豪雨やスーパー台風の頻発は、防災企業にとっての現実直視と危機感の共有を促します。今日、企業ブログとして、私たちSAKIGAKE JAPANは、伊豆山土石流災害を契機として、防災技術・人材・制度の在り方を再考し、未来へどう備えるべきかを考えます。

1. 伊豆山土石流の教訓──短時間・局所集中の水害リスク
1.1 短時間豪雨と地盤崩壊の連携
伊豆山では、たった2時間で200mmを超える猛烈な雨が集中。山地での急峻な地形と深層崩壊が連動し、予想を上回るスピードと規模で土砂が住宅地を襲いました。これは、従来からの「表層崩壊」だけでなく、「深層崩壊」への備えが緊急課題であることを示しました。
1.2 住民の認知・避難行動への課題
緊急避難勧告やSNS通知は発信されたものの、夜間であり、高齢者世帯などに迅速な避難が行き届かず、避難判断と行動の間にタイムラグが生じました。これは「災害情報は届いても、人は動かない」ことがあることを浮き彫りにし、実効性ある避難支援の必要性を指摘しました。
1.3 復興と地域再生の長期戦
土砂撤去やインフラ復旧には数年を要します。地元住民は仮住まいのまま生活や仕事を続ける必要があり、教育・コミュニティ・観光など地域文化の継続的な支援と再建が不可欠です。
2. 防災企業として証すべき3つの対応領域
2.1 技術による“見える化”──リスク予測と監視体制:
集中豪雨の前兆を捉えるためには、気象・地中モニタリングの強化が効果的です。SAKIGAKE JAPANでは以下の技術を提供しています。Climate Vision / Water VisionはAIとクラウドにより、雨量・河川水位・浸水リスクなどをリアルタイムで可視化し、自治体・地域住民が直感的に判断可能なダッシュボードを構築。また、DIPPS Cloudは、地中センサーネットワークが土壌の水分・傾き変化を検知し、見えにくい土壌の崩壊リスクを早期警戒します。
2.2 人材育成──“災害対策士”による防災人材の裾野拡大:
災害情報の解析・通知・初動指揮ができる人材育成も重要です。そこで注目すべきは、災害対策士制度。民間認定資格として、地域や企業の防災組織に人材を供給します。例えば「避難所運営(TSM)」では避難所の設計・生活支援・衛生管理に関する知識を網羅、「住家被害認定調査(THM)」では崩壊危険度の評価手法を取得します。
2.3 現地対応力──停電・断水時のインフラ支援技術:
被災後、電力・水道・通信の寸断が起こる中で、以下の製品が支援を担います。Cold Storage Box Portableは太陽光発電による冷蔵機能を7時間持続。医療品の保冷や食料保存に効果的。Heli‑Portable(可搬式ヘリポート)は、道路崩壊時でもヘリで迅速搬送が可能な仮設ヘリポートを、最速30分以内に設置可能。
これらにより、インフラ復旧前でも緊急支援を継続できる態勢が確立できます。

3. 制度・共助を整える──自治体と地域の共創体制
3.1 事前演習と緊急避難訓練
災害時の被害を最小限に抑えるためには、自治体・住民・企業が一体となった事前演習の実施が不可欠です。特に、土石流や浸層崩壊のような突発的災害では、「夜間避難」や「高齢者避難」といった実際の避難行動を想定したリアルな訓練が効果的です。近年はVRや映像教材を活用した訓練も進んでおり、理解促進と行動準備の両面で成果が見られます。私たちSAKIGAKE JAPANは、こうした訓練の設計や、災害対策士による避難所運営訓練のサポートを通じて、現場の防災力向上を支援しています。
3.2 リスクコミュニケーションと情報連携
災害リスクを住民と共有し、正しく伝えるためには、自治体・気象庁・インフラ事業者間の円滑な情報連携と、タイムリーな発信体制の構築が必要です。気象警報、土壌飽和度、避難勧告といった情報を一元的に把握し、SNS通知や避難誘導アプリとの連動を進めることで、住民の迅速な判断行動を促進できます。SAKIGAKE JAPANでは、災害情報の可視化ツールや、住民参加型の防災アプリ導入に関する相談支援も行っています。
3.3 コミュニティ文化の継続支援
仮設住宅での長期避難生活においては、孤立や精神的負担の蓄積が大きな課題となります。防災力とは、物理的な備えだけでなく「人と人のつながり」によっても築かれるものです。そのため、地域内でのコミュニティづくりや、子どもや高齢者を含めた支援体制の継続が求められます。私たちは、地域主導のワークショップや教育プログラム、復興イベントの支援を通じ、被災地の持続的な回復と文化的なつながりの再構築に寄与できるよう努めています。
4. 終わりに──「土石流災害は過去ではない」
伊豆山土石流は「予測不能」ではなく、「準備・監視・対応」の欠如によって悲劇的な結果となりました。あすもまた、どこかの地域で同様の災害は起こり得ます。防災企業として、SAKIGAKE JAPANは技術と人材、共創体制を三位一体で強化し、未来の災害に備え続けます。「防災の備え」は企業戦略であり、地域と共に未来を守る投資です。7月3日を、被災地への思いを新たにする日として、共に備えを深めていきましょう。
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