防災はコストか、バリューか?JETRO主催イベントへ登壇

はじめに ― 防災を「コスト」から「バリュー」へ

「防災に投資することは、コストではなくバリュー(価値)である」

この考え方が、今まさに世界で問われています。

2025年の世界防災システム市場は約202億米ドル(約30兆円)に達すると予測されており、年間成長率7〜8%台で拡大を続けています。特にアジア太平洋地域が最も急速に成長している市場の一つとなっています。しかし一方で、防災分野のビジネスには、マネタイズの難しさと需要側の資金不足という課題が存在し、需要側から見れば防災・強靱化への投資がコストと認識され、中長期的な価値創造に資する投資と見なされにくいという構造的な問題があります。

日本においても事情は同じです。従来は官公需要が中心だった防災情報システム・サービスについて、近年では企業のBCP(事業継続計画)や従業員の安全確保の一環として、気象情報サービスや安否確認サービスを民間企業が積極的に導入する動きも見受けられるようになってきました。それでも市場の変革はまだ途上にあります。

こうした状況を打破すべく、JETRO(日本貿易振興機構)が今回のラウンドテーブルを企画。株式会社SAKIGAKE JAPANは、防災関連製品バイヤーとして登壇の機会をいただきました。


イベント概要 ― JETROが仕掛ける「防災の民間市場開拓」

今回のイベントは、新興国・地域における防災分野を対象としたサプライヤー・バイヤー双方による相互ピッチイベントです。近年、地方行政単位でも防災産業の輸出志向が高まる中、輸出先である現地市場への理解の深化や、今後の成約につながる企業間ネットワーク構築のニーズが増大しています。防災分野の海外展開は官需を主としていますが、日本企業の優れた商材・技術は、被災国・地域の民間需要向けに輸出するポテンシャルを有しています。本イベントでは、主に民間向けビジネス機会と輸出の実現性について理解を深めていただくとともに、今後の市場開拓に向けての人脈形成の機会を提供することを目的としています。

詳細は以下の通り。当日は想定を上回る100名以上の方々が会場に参加しました。

▼防災分野海外市場開拓(新興国)ラウンドテーブル
https://www.jetro.go.jp/events/oda/8a6db9c30e31f560.html
▼日時
2026年2月25日(水曜)13時00分~18時00分
▼場所
ジェトロ本部 5階 JETROHall(港区赤坂1-12-32 アーク森ビル)
▼プログラム内容
・JICA国際協力専門員(総合防災)西川智博士による「日本の防災産業の海外展開の現状」
・先行する自治体等の取り組み事例
・防災関連製品バイヤー(弊社含む3社)
・防災関連製品サプライヤー(8社程度)
・参加者同士の意見交換・交流会
▼主催・共催
JETRO(ジェトロ)


登壇テーマ① ― 日本の防災を海外市場へどう展開するか

日本は世界有数の災害大国です。と同時に、その経験の積み重ねのなかで、世界で最も洗練された防災技術・仕組み・文化を育ててきた国でもあります。

日本は「仙台防災枠組」(2015年)を含め、世界において防災分野の議論を主導してきた実績があり、日本発の”BOSAI”(防災)という概念は国際的にも浸透しつつあります。技術面でも、AIを用いた災害予測、ドローンを活用した災害時の救助活動、IoTデバイスを使ったリアルタイムのデータ収集など、防災テックは多岐にわたる技術を包含しており、特に2000年代以降のスマートフォンの普及やIoT・AI技術の進化によって加速度的に発展してきました。

しかし、技術力と市場開拓力は別物です。海外展開においては「誰に・何を・どのように届けるか」というビジネスモデルの設計が不可欠です。特に途上国においては資金不足が顕著な課題であるため、製品・サービスの売り切りという形態のみならず、リースやO&Mサービス等で対価を得られるようなビジネスモデルの提案や、最初から海外市場を念頭においたビジネスの育成が重要です。

弊社では、防災コンサルティング・BCP策定支援・防災商品・緊急対応ソリューションの国内での実績を土台に、アジア・新興国市場における防災の民間需要の掘り起こしと価値化こそが、次のフロンティアであるとの認識のもと、今回のラウンドテーブルでの議論に臨みました。


登壇テーマ② ― 官需中心の防災分野を、民間市場へどう広げるか

日本においても海外においても、防災ビジネスの最大の壁は「官需依存の構造」にあります。

中間シナリオの市場規模予測では、防災情報システム・サービスの国内市場において、2025年度の官公需要は最多の1,691億円とされており、市場全体の約8割を占めています。この構造は、防災投資の意思決定が行政サイドに集中していることを意味し、民間企業が自主的に防災へ投資するサイクルが生まれにくい環境につながっています。

防災ソリューションは平常時の利用頻度が低くROI(投資対効果)が見えにくいことから、自治体や民間企業における導入決裁が先送りされる傾向があります。そのため、備蓄品管理や防災訓練の参集管理、インフラ点検など日常業務と連携することで、防災ソリューションを平常時から活用する事例が増えています。「平時でも使える」のではなく「平時から使う」という発想の転換こそが、民間市場を動かす鍵です。

▼フェーズフリーについて、詳しくはこちらをご覧ください

この考えは、まさに弊社が提唱してきた防災の「フェーズフリー化」と一致しています。防災をイベント発生時だけの特別対応としてではなく、日常のビジネス活動に組み込まれた継続的な仕組みとして設計すること。その実現こそが、民間市場における防災の価値を解放する道筋だと、弊社は考えています。


登壇テーマ③ ― 持続可能な防災ビジネスとは

防災への投資が「コスト」として認識されてきた最大の理由は、そのリターンが「使わなかったこと(=無事だったこと)」として現れるため、可視化しにくいことにあります。

しかし、視点を変えれば、防災への投資は確実にリターンをもたらします。事業が止まらないこと、従業員が守られること、サプライチェーンが維持されること、取引先から信頼される企業であり続けること――これらはすべて、防災投資が生み出す経営上の価値です。

気候変動による自然災害の増加、都市化の進展による人口密集地域のリスク拡大、AI・IoT・ビッグデータ分析等の技術進歩、そして企業のBCP意識の向上によるサプライチェーンリスク管理の重視という4つの要因が重なり、防災市場は世界規模での需要拡大局面を迎えています。

持続可能な防災ビジネスとは、単に防災製品を販売することではありません。企業・地域・社会のレジリエンス(回復力)を高めるパートナーとなり、その価値を可視化・定量化しながら継続的に支援し続けることです。弊社SAKIGAKE JAPANは、その役割を担う存在として、国内外において防災の「バリュー化」に取り組んでいきます。


参加を通じて得た気づきと今後の展望

内閣府でも令和7年度に「防災産業の海外展開に関する調査実証事業」の募集が開始されるなど、官民両面で日本の防災技術の国際展開に向けた機運は着実に高まっています。

SAKIGAKE JAPANは、今回のJETROラウンドテーブルで得た知見・ネットワーク・ビジョンをもとに、防災の「バリュー化」を国内外で推進していきます。企業向け防災コンサルティング・BCP策定・防災訓練・緊急対応ソリューションの提供を通じて、日本で培われた防災の力を、必要としているすべての場所へ届けていきます。

JETROの皆さま、そしてご参加いただいた皆さまへ、心より御礼申し上げます。多数のご縁をありがとうございました。


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