熊本地震が見直しを迫った、日本の耐震基準の課題

「まさか、連続で来るとは」

2016年4月14日と16日——熊本地震が発生してから、今年で10年を迎えます。死者・行方不明者は276名にのぼり、最大18万人が避難を余儀なくされたこの災害は、甚大な人的・物的被害をもたらしただけでなく、日本社会が長年築いてきた「耐震基準」への信頼に、大きな見直しを迫りました。

出典:日本財団 https://www.nippon-foundation.or.jp/what/projects/kumamoto

「新しい家だから大丈夫」「耐震基準をクリアしているから安心」——そう信じていた多くの人が、二度の震度7によって、その前提を問い直すことになりました。熊本地震が残した教訓を、改めて整理します。

観測史上初「二度の震度7」が生んだ、想定外の被害

2016年4月14日21時26分、熊本県益城町を震度7の揺れが襲いました。気象庁はこれを「前震」と発表しましたが、その規模は単独でも十分な大地震でした。

そして28時間後の4月16日1時25分、さらに大きなマグニチュード7.3の「本震」が直撃。再び益城町で震度7を記録し、震度7を2度観測するという事態は、日本の観測史上初めてのことでした。その後も余震は半年間で4,000回以上を数え、住民は長期にわたって緊張にさらされ続けました。

出典:内閣府 https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h28/83/special_01.html

「新耐震基準だから大丈夫」——限界が明らかに

日本の建築基準法は阪神・淡路大震災の教訓をもとに2000年に改正され、接合部の金具取り付けや耐力壁の配置基準などが強化されました。しかし熊本地震の調査は、この「2000年基準」を満たした建物でも一定の被害が生じるという現実を示しました。

日本建築学会による益城町中心部の全数調査では、建築時期・耐震等級ごとに倒壊率が明確に分かれています。

●旧耐震基準(1981年以前):倒壊率 28.2%
●新耐震基準・2000年以前:倒壊率 8.7%
●2000年基準以降(等級1相当):倒壊率 2.2%
●耐震等級2(基準の1.25倍):倒壊事例あり 
●耐震等級3(同1.5倍):倒壊ゼロ、87.5%が無被害

注目すべきは、「絶対に倒壊しない」とも評されてきた「耐震等級2」でも倒壊事例が確認された点です。原因は耐震基準の「設計前提」にあります。従来の基準は「一度の大地震に倒壊しない」ことを目標としており、短期間に繰り返される揺れは想定外でした。前震でダメージを蓄積した建物が本震で倒壊するというケースが多発し、京都大学の研究では前震・本震を連続で受けた場合の最大変位は本震単独の2倍以上になるとも示されています。

また、設計上は基準をクリアしていても、接合部の施工精度が不十分だったケースも多く確認されており、「基準への適合」と「実際の耐震性」は必ずしも一致しないことも課題として浮かびました。

「耐える」から「ダメージを減らす」へ

こうした教訓から、建築・防災業界では「耐震」を補完する「制震」への関心が高まっています。耐震が建物の骨格を固めて揺れに耐えるアプローチであるのに対し、制震はダンパー装置で揺れのエネルギーを吸収・分散させ、ダメージの蓄積そのものを抑える考え方です。連続地震への備えとして、等級を満たすだけでなく、いかにダメージを最小化するかという視点が、今後の耐震設計には求められています。

出典:内閣府 https://www.bousai.go.jp/kohou/kouhoubousai/h28/83/special_01.html

企業・自治体が見直すべき「BCP」の盲点

熊本地震の教訓は、個人の住宅だけでなく企業・自治体のBCPにも問いを投げかけています。「新耐震基準の建物だから安全」という前提は、一度の大地震に対する最低限の耐久性を保証するものにすぎません。建物が倒壊しなくても「使えない状態」になれば業務は止まります。連続地震を想定したシナリオの策定や代替拠点の確保を、BCPに組み込むことが重要です。

既存建物の耐震補強という選択肢——Aster Power Coating

耐震補強に踏み出せない組織にとって現実的な選択肢の一つが、弊社パートナー・株式会社Asterが開発した「Aster Power Coating」です。東京大学生産技術研究所発のスタートアップによる特殊繊維強化塗料で、塗るだけで耐震性・耐久性の向上が期待でき、従来の大規模改修と比べて約15分の1のコストでの施工が可能です。国内マンションや高架橋、フィリピンの公立学校、ネパールの世界遺産でも採用実績があります。

まとめ——「基準を満たす」の先にある備えを

熊本地震が示したのは、「法律の最低基準を満たすことと、あらゆる地震シナリオへの安全は同じではない」という現実です。10年という節目に、建物の耐震等級とBCPの実効性を今一度確認してみてください。

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