福岡県久留米市で開催された「KBC防災ネットワーク会議」にて、世界の防災トレンドと筑後地域への実装可能性をテーマに講演いたしました。
本会議には福岡・佐賀・沖縄の19自治体が参加し、地域防災の“現在地”と“これから”を議論する貴重な場となりました。近年の九州北部豪雨や能登半島地震を踏まえれば、自治体防災のアップデートは急務です。一方で、メディアと自治体が同じテーブルで防災を語り合う機会は全国的にも希少であり、非常に意義ある取り組みとなりました。
▼弊社CEO 0:16〜
1. KBC防災ネットワーク会議とは — メディア×自治体の新しい協働モデル
福岡・佐賀・沖縄の19自治体が集結
KBC防災ネットワーク会議は、九州北部を放送エリアとするテレビ局KBCが主導し、自治体・関係機関が連携して地域防災力の向上を図る取り組みです。災害対策、情報共有、地域特性に応じたリスク分析など、幅広いテーマが扱われました。全国的にも珍しい「メディア」×「自治体」の協働モデルであり、この双方が組むことで、災害時の情報伝達と住民行動をより良い形で接続することが期待されています。
- メディア:広域に伝える力
- 自治体:地域を深く知る力

2. 講演テーマ:なぜ今“国際視点”が必要なのか?
今回の講演では、イタリア・台湾・米国FEMAといった“実装レベルで成果を出している国々”の仕組みを取り上げ、日本の自治体が応用できるポイントを整理しました。単なる事例紹介ではなく、「地域防災をアップデートするための新しい視点」として海外事例を紐解いたことが特徴です。
取り上げた3つのテーマ
- イタリア|住民参加型コミュニティ防災と物資・手順の標準化
:全国統一の“物資・人員・手順”により、誰が来ても同じように動ける仕組みを構築 - 台湾|デジタル防災・避難所運営の可視化
:QR受付・ダッシュボード・スフィア基準など、避難所を「運用」できるように設計 - 米国FEMA|ICSによる災害マネジメントの標準化
:全米が共通の指揮命令系統で動き、備蓄・部隊情報も統合管理されているため初動が早い
なぜ海外事例が“今”必要なのか?
理由は明確で、日本と海外が直面している課題の構造が極めてよく似ているためです。気候変動により、豪雨・洪水・土砂災害は世界中で激甚化し、日本では九州北部がとくに“流域一体型の被害”が顕著になっています。
こうした背景を踏まえ、世界ではすでに次の3点が潮流として定着しています:
- データ化:被害・備蓄・現場情報の可視化
- 標準化:物資・避難所・行動手順の統一
- ネットワーク化:流域・州・国境を越えた連携
これらは「経験則では対応できない時代」に不可欠な考え方であり、日本の自治体がローカライズして導入することで、防災力は確実に底上げされます。

筑後地域を念頭に置いた講演構成
筑後地域は、筑後川・矢部川など河川が多く、農地と住宅地が近接した地形特性から、豪雨・内水氾濫リスクが高いエリアです。海外の類似エリアと比較しながら、現実的な対策のヒントを共有しました。

3.世界の防災事例が示す「被害を減らす仕組み」
世界の防災はこの十数年で大きく進化し、「データ」「標準化」「ネットワーク」という三つの柱が確立されつつあります。被害を最小化している国々には、例外なく“再現性のある仕組み”が存在します。
イタリア市民保護局では、避難所・トイレ・給水・キッチンなどが全国標準化され、どの地域の部隊が来ても同じ手順で即時展開が可能です。2016年の中部地震では、全国から5,000名規模の専門家が迅速に集結し、標準化された手法に基づいて被害調査が短期間で完了しました。
同様に米国FEMAは、NIMS/ICSという共通枠組みにより、指揮命令系統や備蓄データが全国統合されています。物資の所在、出動部隊、配送ルートなどが一元的に管理されているため、初動のスピードが圧倒的です。
台湾では避難所の質が徹底され、スフィア基準、個別ブース、QR受付、ダッシュボード、運営チームなど、避難所を“事前に運用可能な状態へ設計する”文化が根付いています。

防災先進国に共通する「被害を減らす仕組み」
- 物資・人員・手順の標準化(イタリア)
- 指揮命令系統の一本化とデータ統合(FEMA)
- 避難所の設計・運用の標準化とデジタル化(台湾)
- 全国・域内のネットワークが前提となった運用体制
- “誰が来ても同じように動ける”仕組みづくり
いずれも、「現場の頑張り」ではなく、「制度」と「仕組み」によって再現性を担保するという強い思想が根底にあります。

4. 筑後地域への応用可能性 — “流域で守る”という視点
筑後地域は、肥沃な一方で水害リスクの高い流域構造を持っています。河川・農地・市街地が近接し、わずかな降雨量の違いが広域的な浸水に直結するため、自治体単体では対応しきれない課題が多く存在します。
講演では、この課題に対して「データ駆動型の地域モデル」というアプローチを紹介しました。浸水シミュレーション、土砂災害、内水氾濫、避難行動、ライフライン影響を統合し、上流から下流まで流域全体が同じ“地図”を共有できる仕組みです。
また、標準化の考え方は筑後地域との相性が非常に良く、避難所運営、トイレ基準、備蓄管理、物資配送など、小規模自治体でも導入しやすい領域から地域全体の底上げが可能です。

5. メディアと自治体が未来の防災を語り合う価値
報道機関の「広域情報伝達」と自治体の「地域防災」は、本来強力に補完し合う関係にあります。災害が複雑化し、被害が連鎖する今、情報伝達と行政判断が分断されないことはますます重要になっています。今回のように、双方が同じ場で未来の防災を考えることは、筑後地域だけでなく、全国の自治体にとっても大きな示唆となる取り組みです。
6.SAKIGAKE JAPANとしての今後の役割
SAKIGAKE JAPANは「データと現場をつなぐ存在」として、流域防災の基盤づくりに貢献していきます。単なる製品導入ではなく、地域全体が“同じ言語”で防災を語れる環境を整えることが役割です。
具体的な貢献領域
- データ駆動型地域モデルの実装
- イタリア・FEMA・台湾の標準化思想のローカライズ
- 蓄光サイン、オフグリッド冷蔵、ヘリポータブル等の先進技術提供
- 防災講師としての教育・人材育成
- 東京大学と連携した災害対策士プログラムの展開
SAKIGAKE JAPANは世界の先進知を地域の現場に翻訳し、科学的知見と実装力を兼ね備えたパートナーとして、未来の防災力づくりに取り組んでまいります。
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