1923年9月1日に発生した関東大震災から、2026年で103年を迎えます。100年以上が経過した現在、建築物の耐震性能や防災技術、観測・情報伝達の仕組みは大きく進歩しました。しかし、現代の都市には当時とは異なるリスクがあります。
電力、通信、鉄道、物流、ITシステム、そして複雑につながったサプライチェーン。
私たちの社会が便利になった一方で、企業活動は多くのインフラや外部サービスによって支えられるようになりました。9月1日の「防災の日」を機に考えたいのは、「地震に耐えられる会社」だけではなく、都市機能が止まったときにも重要な事業を継続できる会社になっているかということです。

関東大震災とは——約10万5,000人が犠牲となった巨大災害
1923年(大正12年)9月1日午前11時58分、神奈川県西部を震源とするマグニチュード7.9の大正関東地震が発生しました。震源の深さは23km。埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県で当時の最大階級である震度6を観測し、相模湾沿岸や房総半島南端では、現在の震度7相当の揺れだったと推定されています。
この地震によって引き起こされた一連の災害が「関東大震災」です。被害は東京や横浜をはじめとする南関東の広範囲に及び、内閣府によると、死者・行方不明者は約10万5,000人、全半潰・焼失・流失・埋没した住家は約37万棟に上りました。強い揺れだけでなく、火災、津波、土砂災害、液状化などが各地で発生した、複合的な巨大災害でした。
なかでも甚大だったのが火災による被害です。地震発生が昼食時と重なったことなどから各地で火災が発生し、市街地で大規模な延焼へと発展しました。死者・行方不明者約10万5,000人のうち、約9万人が火災によるものと推計されています。また、当時の東京市では約34.7km²が焼失しました。
さらに被害は建物や人命だけにとどまりませんでした。電気、水道、道路、鉄道などのライフラインにも甚大な被害が発生し、都市機能そのものが大きな打撃を受けました。内閣府の報告では、交通機関、上水道、電力、通信、橋梁などの社会資本が広範囲で機能を失ったことが記録されています。
関東大震災が現代の企業防災に投げかける教訓は、「建物の倒壊に備えるだけでは十分ではない」ということです。強い揺れを起点に、火災やインフラ停止、交通・物流の混乱などが連鎖すれば、直接被災していない企業にも影響は広がります。103年前に起きた「都市機能の連鎖的な停止」は、インフラへの依存度がさらに高まった現代の首都圏において、改めて考えるべき課題です。

2026年の東京で考えるべき「都市機能停止」
103年前と現代では、都市の構造そのものが大きく異なります。現在の企業活動では、オフィスが無事でも、停電すれば設備やITシステムが使えなくなる可能性があります。通信障害が起きれば、従業員の安否確認や取引先との連絡にも支障が出ます。鉄道が止まれば従業員が出社・帰宅できず、道路や物流網が寸断されれば、原材料や商品の供給にも影響します。
さらに、自社に直接的な被害がなくても、取引先や物流事業者、データセンターなどの停止を通じて事業が中断する可能性があります。内閣府も、大規模災害による企業活動の停滞は、一企業だけでなくサプライチェーンや地域経済、日本全体へ影響を及ぼすおそれがあるとして、BCP(事業継続計画)の重要性を示しています。
「建物を守る」から「事業を止めない」防災へ
企業の地震対策というと、耐震化や防災備蓄をイメージしがちです。しかし、BCPではその先まで考える必要があります。
例えば、「停電と通信障害が同時に発生したら」「経営層が出社できなかったら」「主要取引先が被災したら」「オフィスが1週間使用できなかったら」。こうした状況でも、優先すべき重要業務と復旧目標を定め、代替拠点、バックアップ、要員、安否確認、緊急時の意思決定方法などを事前に整理しておくことが重要です。内閣府も、バックアップシステムやオフィス、要員の確保、迅速な安否確認などをBCPの典型的な取り組みとして挙げています。
また首都圏では、交通機関の停止による帰宅困難者への対応も欠かせません。東京都では一斉帰宅の抑制を進めており、企業の取り組みとして従業員が一定期間滞在できる備蓄や訓練などを紹介しています。

9月1日を「BCPを動かす日」に
BCPは、一度策定して終わりではありません。組織、人員、取引先、システムが変われば、災害時に必要な対応も変化します。だからこそ、定期的な訓練を通じて「本当にこの計画で動けるのか」を確認し、改善を重ねることが重要です。内閣府も、訓練をBCPの実効性向上につなげる取り組みを示しています。
関東大震災から103年。9月1日を、備蓄品の期限を確認するだけの日ではなく、「もし今日、首都圏の都市機能が止まったら、自社は事業を続けられるか」を考える日にしてみてはいかがでしょうか。災害そのものを防ぐことはできません。しかし、被災後にどのように動き、重要な事業を守り、どれだけ早く立て直すかは、平時の準備によって大きく変わります。
防災を「被害を防ぐ対策」から「事業と社会を継続するための経営戦略」へ。
関東大震災の教訓を、次の災害への備えにつなげていくことが求められています。
「塗る」耐震対策——Aster Power Coating
企業のBCPでは、事業継続の仕組みを整えるだけでなく、従業員が働く建物や事業を支える施設そのものの安全性を高めることも重要です。

「Aster Power Coating」は、東京大学生産技術研究所発のスタートアップ・株式会社Asterが開発した、特殊繊維を配合した次世代型の耐震・補強塗料です。建物やコンクリート構造物に強靭な補強層を形成し、外壁の剥落やコンクリートの劣化、地震時の損傷リスクを抑制します。高架橋、マンション外壁、学校、公共施設、ブロック塀、歴史的建造物など幅広い構造物への活用が想定されており、大規模改修や建て替えだけに頼らない、低コスト・短工期の耐震補強・長寿命化ソリューションとして、国内外で施工されています。
関東大震災から103年。BCPの策定や防災訓練とともに、建物・設備の地震対策を改めて見直すことも、企業の災害対応力を高める一歩です。
