火山と共に生きる──御嶽山噴火から考える、観光地・地域事業者のための防災戦略

観光資源としての「火山」と、突きつけられるリスク

秋の紅葉シーズンを目前に控えた2014年9月27日。長野県と岐阜県にまたがる御嶽山が突如噴火し、登山者ら58名が死亡した戦後最悪の火山災害となりました。この悲劇が多くの人々に問いかけたのは、「自然の恵みとリスクが同居する火山地域で、私たちはどう生きるべきか」ということ。火山は美しさと恵みの象徴である一方で、突如として人命と産業を脅かす「動く災害源」でもあります。

とりわけ、温泉地、登山地、観光拠点として成り立ってきた地域では、火山リスクと経済の両立は“避けて通れない現実”です。

出典:地質調査総合センター https://www.gsj.jp/hazards/volcano/ontake2014/

「遠い話」ではない──火山と隣り合わせの地域・事業者

現在、日本には111の活火山が存在し、そのうち50以上が常時観測対象に指定されています。北海道から九州、離島まで、火山の裾野には多くの観光業、宿泊業、地域商店、交通インフラが立地しています。つまり──「火山と共に生きる」というテーマは、限られた地域の話ではないのです。とくに次のような業種・立地の事業者にとって、火山災害への備えは、「まさか」ではなく「いつか」起こる前提で捉えるべき課題です。

  • 温泉・リゾートホテル・観光協会など観光関連業
  • ロープウェイ・登山道整備などの交通・設備事業者
  • 登山・アウトドアガイド、アクティビティ提供事業者
  • 山岳寺院や霊場に関連した宗教・文化施設
  • 火山地帯に拠点を置く製造業・農業・物流事業者 など
出典:地質調査総合センター https://www.gsj.jp/hazards/volcano/ontake2014/

「来てほしい」と「守りたい」のジレンマに、どう向き合うか

御嶽山噴火が私たちに教えてくれたのは、「予測できない災害でも、人の命を守る術はある」ということ。噴火前日には特に異常が見られず、当日の噴火も無告知で発生。観光地においては「営業を続けながら防災する」という難しさがつきまといます。

観光客が減ってしまうのではないか」
過剰な対策が風評を招くのではないか」
「避難訓練や警報設備をどう運用すればよいのか」

このような“守りと経済のジレンマ”に向き合うには、防災を“特別なもの”にせず、日常業務の一部として組み込む「フェーズフリー」の考え方が有効です。


事業者ができる、3つの「フェーズフリー防災」アクション

① 平時からの情報発信と可視化

  • 火山活動レベルや避難経路を、HP・SNS・館内掲示にわかりやすく表示
  • 「安全のためにこうしている」という対外発信が、信頼と安心感を生む
  • 登山アプリ・気象庁サイトとの連携表示で、訪問者が自分で判断できるように

② 日常利用可能な防災インフラの整備

  • 蓄光誘導材や非常食の配置、避難グッズを「見せる収納」で日常空間に組み込む
  • 蓄電池やオフグリッド冷蔵庫など、災害時も“普段から使える”設備投資を検討
  • スタッフ教育も「業務の延長線」として、無理なく継続

③ 地域・自治体との連携を強化する

  • 防災協定やBCP訓練を通じて、自治体・消防・隣接施設と顔の見える関係づくり
  • 観光協会単位での避難計画策定や、共同での体験型訓練の開催
  • 「うちだけで完結させない」ことが、火山防災では命を分ける

火山のそばにある美しい地域を、次の世代へ残すために

御嶽山噴火は、単なる自然災害ではありません。人と自然がどう共生するかを問い直す「節目」の出来事でした。火山のそばに住むこと、働くこと、訪れること──それはリスクを引き受けるだけでなく、自然の豊かさと共に生きる選択でもあります。

だからこそ、SAKIGAKE JAPANは防災の専門企業として、“守るための備え”から一歩進んだ、「地域の営みを守る防災」にこだわり続けます。そして私たちは、火山地域の事業者や自治体、観光客の皆さまと一緒に、防災が“特別なこと”ではなく、“日常の当たり前”となる社会を、これからも目指していきます。


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