2025年6月3日、私たちは日本の災害史に深く刻まれた「雲仙・普賢岳噴火」から34年という節目を迎えました。1991年6月3日、長崎県島原市に位置する雲仙・普賢岳で発生した大規模火砕流により、43名の命が奪われ、そのうち数名は報道関係者・学識経験者など災害の最前線にいた方々でした。
この出来事は、日本における火山災害対策の在り方を問い直す契機となり、火山監視体制の強化、ハザードマップの整備、避難計画の見直しなどにつながってきました。本記事では、雲仙・普賢岳噴火の被害と教訓を振り返るとともに、現代の火山防災における企業の役割、そして私たちSAKIGAKE JAPANが展開する防災ソリューションについてご紹介します。

1991年・雲仙・普賢岳噴火の概要と被害
雲仙・普賢岳は、九州の島原半島に位置する活火山で、江戸時代の1792年には山体崩壊と津波で1万5000人を超える犠牲者を出した“島原大変肥後迷惑”の地でもあります。
1990年11月に小規模な噴火活動が始まり、翌1991年6月3日午後4時8分、規模の大きな火砕流が発生。猛スピード(時速100km以上)でふもとの集落を襲い、被害は次の通りです。
- 死者・行方不明者:44名
- 建物被害:約2500棟
- 避難者数:約1万1,000人
- 経済被害:約2299億円
当時、避難指示区域外にも火砕流が及んだことで、「リスクの過小評価」「メディアの取材体制」「避難指示の実効性」が全国的な議論となりました。
火山災害の特性:予測困難でありながら、防げる被害もある
火山災害は地震や台風と異なり、数ヶ月〜数年に及ぶ“前兆活動”があることが多く、その間に適切な対策を講じることで被害を軽減できます。
しかしその一方で、以下など、独特のリスクも併せ持っています。
- 噴火規模や時期の「不確実性」
- 噴煙、火山灰、火砕流、泥流、土石流といった「複合災害」
- 長期にわたる避難生活と経済的損失
2021年には鹿児島県の桜島が噴火警戒レベル5(避難)に引き上げられ、2023年には口永良部島でも大規模な噴火が発生。活火山を多く有する日本にとって、火山災害は決して“過去の出来事”ではありません。

SAKIGAKE JAPANの視点:火山リスクに備えるために
私たちSAKIGAKE JAPANは、防災専門企業として、火山災害を含む自然災害に対して「予測・準備・対応・復旧」の各フェーズで有効なソリューションを展開しています。
●Heli-Portable(ヘリポータブル)による支援基地の迅速構築
・火山噴火によって道路が寸断されたり、離島・山間部へのアクセスが困難になった場合でも、瞬時に災害対応用ヘリポートを形成。
・重量35kgで一人で持ち運べるため、噴火直後の救援物資搬送や負傷者の空輸拠点を現地で即時設置可能。
・斜面に遮られた地域や土砂が堆積した二次災害危険区域において、ヘリリソースを活用した医療・物資輸送の迅速化を実現。
●Cold Storage Box Portable(コールドストレージボックス)での物資保全
・噴火に伴う停電・燃料不足で冷蔵インフラが停止した場合でも、医薬品(ワクチンなど)や食品を一定期間安全に保管。
・灰による断熱や日射熱をコントロールできる設計で、外気温や火山灰の影響を受けにくい。
・非常時の医療救護所や避難所において、食料の鮮度保持や緊急医薬品の管理をサポート。
●蓄光サイン(10年光)による避難誘導の強化
・火山灰や停電で照明が一斉に消えても、避難誘導サイン(壁面・床面)や手すりサインが暗闇でも長時間発光し、避難路を確実に示す。
・避難所周辺や主要道路脇の避難看板にも10年光を塗布すれば、視界が悪い状況下でも、安全に出口や集合場所へ誘導できる。
・屋外でも10年以上劣化しない耐候性を持つため、メンテナンスコストを低減。
教訓から未来へ──企業が果たすべき役割とは?
雲仙・普賢岳の火砕流災害は、企業にとっても重要な問いを投げかけました。
- 「現場にいる社員をどう守るのか」
- 「拠点が影響を受けた場合の事業継続体制は?」
- 「風評被害や物流寸断への対応策は?」
特に製造業や観光業が集中する地域では、火山災害が経済活動に直接的な影響を与えることがあります。私たちが提唱するのは、“防災=投資”という視点です。リスクを正しく把握し、初動対応を制度化することで、被害を最小限にとどめ、信頼ある事業運営を継続することが可能になります。
最後に:風化させてはならない“34年前の警鐘”
1991年6月3日、命をかけて災害の実態を伝えようとした記者たち、最前線で火砕流に巻き込まれた消防団員や火山学者──。私たちはこの日を、単なる追悼ではなく、「次の災害を減らすための知見共有の日」として位置づけています。
SAKIGAKE JAPANは、災害大国・日本の中で“次の34年”を見据え、防災技術の社会実装、人材育成、国際協力に挑み続けます。
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