【現地報告】日越防災協働対話に登壇・出展──持続可能な防災の提案

2025年5月13日、ベトナム・ハナム省にて第13回「日越防災協働対話」が開催されました。この協働対話は、日本の国土交通省とベトナム農業環境省(旧・農業農村開発省と天然資源環境省が統合して誕生)による共同開催で、年々その重要性を増しています。今回、私たちSAKIGAKE JAPANは、同ワークショップにおいて技術発表と製品展示を実施しました。現地の課題に対する具体的な解決策を、現地政府関係者、日本の建設系企業・技術者、国際機関の皆様に共有できたことは、大きな一歩となりました。

日越防災協働対話について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

台風「ヤギ」が残した爪痕と、ベトナムの防災課題

昨年2024年9月、ベトナムは台風「ヤギ(YAGI)」により大きな被害を受けました。特に農村地域では、河川の氾濫による浸水、農地の損壊、家屋の倒壊が相次ぎ、数万人規模の避難が発生しました。こうした背景から、ベトナムにおける早期警戒体制の整備や、農業・インフラ復旧の迅速化は喫緊の課題とされています。特に地方では、気象情報の取得と伝達が遅れやすく、初動の遅れが被害拡大を招いてしまうケースが多く見られます。

技術発表:SAKIGAKE JAPANの提案

今回のプレゼンテーションにおいて、SAKIGAKE JAPANは「SaaS型の早期警戒システム」および「自律分散型インフラ」の導入可能性について発表を行いました。

SaaS型早期警戒システムとは?

私たちが提案する「Climate Vision」「Water Vision」は、クラウド上で動作する災害リスク可視化プラットフォームです。衛星データ、地上センサー、過去の災害データなどを統合し、洪水、台風、豪雨、地すべりなどのリスクを“リアルタイムで見える化”します。この仕組みは、地方自治体や農村部のコミュニティがスマートフォンやPCを通じて直感的に情報を受け取れるため、インフラ整備が遅れている地域でも活用可能です。

自律分散型のインフラソリューション

さらに、私たちは電力や通信が絶たれた災害時でも稼働できる「Cold Storage Box Portable(ソーラー駆動型可搬冷蔵庫)」や、「DIPPS Cloud(土壌モニタリングシステム)」など、現場で“動き続ける”仕組みを紹介しました。これらは、中央集権的なインフラとは異なり、個別地点で自律的に稼働する点が大きな特長です。特に山岳地帯や島しょ部のようなアクセス困難地域では、災害時の命綱となりうる技術です。

防災ビジネスとしての継続可能性

防災は一過性の「支援」ではなく、持続可能な「仕組み」でなければ意味がありません。今回の協働対話で注目されたのは、SAKIGAKE JAPANが提案する「防災×ビジネスモデル」の考え方です。製品やシステムを“売る”ことが目的ではなく、「現地の自治体や学校、農村が自立的に運用し続けられる設計」「現地企業とのパートナーシップによる普及展開」「維持費用の地産地消化」など、現実的な実装戦略を提示しました。これにより、防災が“援助”や“寄付”の対象ではなく、“地域開発の一部”として認識される土壌が生まれつつあります。

展示製品:具体的なソリューション紹介

展示スペースでは、以下などの主力製品・技術を展示・説明しました:

  • Climate Vision / Water Vision
    洪水・豪雨リスクをAIで可視化するプラットフォーム
  • DIPPS Cloud
    土壌水分や傾斜変動をリアルタイム検知する地中センサー群とダッシュボード
  • Aster Power Coating
    建物内装材の剥落・破損を防ぐ柔軟かつ高耐震な特殊塗料
  • Cold Storage Box Portable
    太陽光駆動で7時間以上の保冷を可能とする可搬型ユニット。災害時の医療・食品支援拠点に最適

来場者からは「電力が届かない地域でも使えるのは大きい」「防災と農業の組み合わせが現実的でいい」といった声が寄せられました。

ベトナム・農業環境省様へご紹介

成果とこれから

今年、ベトナムでは日本の支援によって「初の砂防ダム」が完成しました。物理的な構造物の整備と同時に、情報インフラ・人材育成・教育支援など、ソフト面での協力が求められています。今回の登壇・展示を通じて、SAKIGAKE JAPANは「単なる製品提供」にとどまらない「地域とともにある防災の仕組みづくり」に取り組む意思を示しました。今後は、現地の大学・行政・事業者と連携し、パイロット導入や実証実験などを進めながら、東南アジア全体への展開を目指してまいります。

最後に

防災は、命を守るだけでなく、暮らし・産業・教育を守ることに直結しています。そしてそれは、地域ごとの課題や文化を理解した上で初めて実を結ぶものです。私たちSAKIGAKE JAPANは、「防災技術を社会に実装する」企業として、今後も日越をはじめとする国際的な連携の中で、持続可能な防災ビジネスを創出してまいります。

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