「映画みたいな竜巻だった。」
これは、実際に竜巻に遭遇した人々がよく口にする言葉です。しかし、それは決して映画のワンシーンではなく、現実に起こる恐ろしい災害です。
2025年3月、アメリカ中西部を襲った暴風雨により、カンザス州では複数の竜巻が発生し、大規模な被害が報告されています。「55台以上の車両が巻き込まれる事故が発生」「8人の死亡が確認された」(CBS/AP, 2025年3月17日)など、まるで映画『ツイスターズ』の世界が現実になったかのような状況です。

では、映画で描かれる竜巻と現実の竜巻にはどんな共通点や違いがあるのでしょうか?今回は、映画を通じて竜巻の恐ろしさを再認識し、私たちがどのように備えるべきかを考えてみましょう。
映画の世界で描かれる竜巻の恐怖
竜巻は、映画や舞台の中でスリリングな要素としてしばしば登場します。その代表例が、2024年にブロードウェイでリバイバル公演が話題となり、現在映画が公開中の『ウィキッド』です。
『ウィキッド』と『オズの魔法使い』—竜巻が運ぶ運命の転換
『ウィキッド』は、名作『オズの魔法使い』の前日譚として描かれています。『オズの魔法使い』では、カンザスに住むドロシーが巨大な竜巻に巻き込まれ、オズの国へと飛ばされるという衝撃的なオープニングが展開されます。このシーンは、映画史上最も有名な竜巻の描写の一つでしょう。
もちろん、現実には竜巻が魔法の国へ人を運ぶことはありません。しかし、家を丸ごと吹き飛ばし、巨大な建物や車を簡単に巻き上げる竜巻の破壊力は、決してフィクションではなく、現実の脅威なのです。
『ツイスターズ』—リアルな竜巻の恐怖を描く最新作
1996年に公開された『ツイスター』は、竜巻を追跡するストームチェイサーたちの物語でした。そして、2024年にはその続編として『ツイスターズ』が公開予定となっています。
この映画では、超大型の竜巻が発生し、科学者や気象学者たちがそのメカニズムを解明しながら命がけで竜巻を追うというストーリーが描かれています。映画ならではの迫力ある映像表現も魅力ですが、実際のストームチェイサーたちも、竜巻の研究や警報システムの向上のために命をかけて活動していることを忘れてはなりません。
『ツイスターズ』で描かれるような、「竜巻に突っ込む勇敢な科学者」というのは現実世界でも存在します。しかし、現実の竜巻は決してエンターテインメントではなく、一瞬で多くの命を奪い、町を破壊する恐ろしい現象です。
現実の竜巻—カンザスで起こっている事態
映画の中だけではなく、現実のカンザスでも竜巻は猛威を振るっています。
「8人が死亡、55台以上の車両が巻き込まれる事故が発生」(CBS/AP, 2025年3月17日)と報じられており、竜巻による視界不良や突風による車両横転事故が相次いでいます。さらに、同じ暴風雨システムの影響でオクラホマ州では130以上の山火事が発生し、緊急避難命令が出される事態となっています。
専門家によれば、今回の嵐の規模は異常なほど大きく、「100mph(約160km/h)を超える暴風」「100万を超える住民が影響を受ける可能性」があるとのことです(CBS/AP, 2025年3月17日)。
竜巻から身を守るためにできること
竜巻の発生は防げませんが、適切な対策を取ることで命を守ることは可能です。
🔹 事前に避難計画を立てる
家族や職場で、竜巻発生時の避難場所を決めておきましょう。地下室や窓のない頑丈な部屋が最適です。
🔹 最新の天気情報を確認する
天気予報や緊急警報を常にチェックし、警報が発令されたら速やかに避難を開始しましょう。
🔹 屋外での対応を知っておく
もし車を運転中に竜巻に遭遇した場合は、可能であれば建物に避難するか、低地に伏せて頭を守る姿勢をとることが重要です。
映画と現実の違いを知り、防災意識を高めよう
映画『ウィキッド』や『ツイスターズ』で描かれる竜巻の迫力は、観る人を魅了します。しかし、その恐ろしさは現実世界でも変わりません。
日本では竜巻の発生は比較的少ないものの、台風や強風災害は毎年のように発生しています。防災意識を持、事前に備えることが、命を守るための第一歩です。
映画を楽しむと同時に、竜巻や暴風の危険性を再認識し、万が一の事態に備えましょう。
出展:Violent tornadoes hit parts of U.S. as severe storms kill at least 42, unleashing winds and fanning wildfires / 2025.3.17 / CBS / リンクはこちら